数年前まで都内の飲食店で働いていたころに1回だけお店が街コン会場になった経験があるので、その時の話を書いていきます。
僕が働いていた街は都内有数のオフィス街で、土曜日はどこのお店もガラガラでした。しかも街の半分位のお店は土曜日は定休日。僕らにとっての土曜日は翌週の仕込みをやるために仕事に行き、ついでにお店を開けておくくらいの感覚です。
そんな街で「土曜日開催の街コンやるんでお店として参加しませんか?」って営業あり、土曜日は暇だし面白そうだからと営業マンの話を聞くことにしました。
街コンの飲食店側の利益
僕らが出店した街コンの一般参加費は男性が6000円、女性が3000円。そして街コンの定員が300名かな、確か。で、僕のお店に入るお金は1人あたり2000円。僕のお店は街コン用に40席を空ける約束をしたので、「街コンでの売り上げは8万円」
ちょい分かりやすく言うと、運営会社が街コンの参加者300人が座れる席数を複数の店舗で確保。その店舗たちに、「席数×2000円」をあげるってことです。
お店が貰える金額がすごい安いよね。ちなみにフードメニュー数種類と飲み放題は込みです。
たくさんの会社が街コンを開催しているので、会社によってお金はそれぞれ違うと思いますが、飲食店が貰える金額なんてこんなもんじゃないですかね?
言い換えると40人の1人2000円貸切パーティ
これじゃあ割に合わないよね。普段の僕のお店の貸切の客単価は6000円だったので、40人なら24万円だもん。
でもある作戦を思いつき、出店を決断
売上が40人×2000円で8万円ってことが確定しているので、当然赤字は出ないようにメニューを考えないといけない。
飲み放題には当然ビールなんかいれられないので、カクテルを充実させる。そして激安のワインを仕入れておくと。
フードメニューは、一応フレンチベースのお店なので、原価は安いけど見た目がいい、それっぽいつまみを3種類用意。
これで原価はギリギリ1000円くらいだったと思う。参加者が酒豪の集まりだったらヤバイけれど、コンパだから緊張して飲まないっしょって読みです。
そして最大の作戦とは…
アラカルトで追加注文を取る!
え?普通じゃんって思うでしょ?でもこれが秀逸な作戦だったんです。
街コンとはいえコンパなんで、当然男女が向かい合って座るわけです。しかも初対面のね。初対面の男女が席についたら、まぁ大体は会話の内容を探すためにメニュー見ますよね。
女子1「あー、これおいしそー♡」
女子2「ほんとだー♪」
男子1「え、え、あ、じゃあ頼もうか(値段チラッ)」
女子12「えー、いいんですかー♡」
男子2「お、これなんかシェアして食べれるじゃん!」
女子1「あ、わたし後でデザートも頼もー」
女子2「わたしもー♪」
男1「え、甘いもの好きなの?俺もちょー好きなんだよね!」
男2「俺も俺もちょー甘党!」
そう、このビジョンが見えたんです。
というわけで、お客さんたちが取り分けしやすくて、見た目が良くて、値段そこそこで、美味しい食事をいくつか用意して、ワザとらしいメニューをテーブルに置いておくと。「Today’s Special Menu」とか書いちゃってさ。
飲み物も女子ウケが良いワインリストを置いて、あとシェイカー系のカクテルも目立つようにしておけば、イチコロ。
ここまで正直に飲食店の気持ちを書くと猛烈なゲスっぽさが出るけど、普通にマーケティングですよ。仕事なんだから行動パターンを想像しなきゃ。
最初から付いてる食事のメニューも不味いものを出すわけじゃないけどさ、当然追加でもっと美味しい皿があったほうがいいじゃない。
さらにね、これが一回どこかのテーブルでオーダーされれば、後は芋づる式で注文が入るはずってところまで予想。やっぱ男は見栄っ張りだから、隣のテーブルの男が頼んだら「俺達も頼むか」ってなるからね。特にコンパだとモテたいもん。
その結果
この作戦は見事に刺さり、結構な売り上げを暇な土曜日に残すことができました。それにお客さんたちもそれなりに満足してくれて、街コンがキッカケで常連さんになってくれた方もいました。
街コン参加者について
かなり楽しそうで盛り上げっていました。街コンの開催時間が過ぎても一般客として残った客が半分くらいいて、さらに退店後もカラオケや、他の飲み屋に散らばっていってました。
客層は20代限定の街コンなので当然若いんだけど、男女ともに大人しそうな人と、ごく普通の人の半々くらい。不良っぽい人もいなかったし、行儀も良かったと思います。
まとめ
ちなみに街コンを参加したことはないです、独身だったら絶対参加してるな。うん。すっごい楽しそうだったもんな。実際彼女が出来たことなかったアラサーの友達は中目黒の街コンで人生初の彼女が出来てましたしね。
池袋や渋谷の街コンは強姦まがいの男が多くて凄く評判悪いって話を聞いたことあるけど本当かな?怖い怖い。
おしまい。
こんにちは
街コンなる言葉が巷に出始めた頃は
とっくに結婚してましたけどどんどん新しいものが出てくるなぁなんて、思ってました。
テレビでは、参加者と主催者の話しかしてなかったので
お店側のお話というのはとても新鮮で楽しく読ませていただきました。
あと、レストランの側からの利益を出すための作戦(?)が本当に読んでてワクワクしました。